You Raise Me Up

まだ会ったことがないけれど、私の大好きな人のブログから転載します。

このブログはもう終了してしまい、ブログ主の彼女は、一人でボランティア活動の旅に出てしまいました。 最後の記事からの転載です。 私は折に触れ、この文章を思い出します。

 

 「シドニーおちんの、これが今の精いっぱい」より、

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本日は、ワタスがあるキャンプで出会った男の子のお話をさせていただきます。

     その子の名前はベン。12歳。文盲。両親は健在。父親はアル中。母親は暴力的。

   姉弟は、ベンを含めて5人。だが、既に3人は死亡。死亡の原因は一応全員病死だが、実際は不明。

 ベンが言うには、姉はもともと病弱で、食物を与えられず衰弱死。遺体は両親が裏の山に埋めた。

  弟のひとりは、両親に殴られて死亡。姉の遺体の横に埋められた。

   もうひとりの弟は、ベンが妹とその弟を連れて家から逃げる途中で動けなくなった。

    背負ったが少しするとだらりとして、ベンは弟の死を知った。

       弟の遺体は大きな岩の間に入れた。獣に襲われないように。



  そして、ベンは妹を背負って、そのキャンプにたどり着き、ワタスと出会ったのですた。

   12歳だというのに、ベンの体は細くて、太ももがワタスの二の腕くらいしかありませんですた。

  ベンと妹がそのキャンプで食べ物をもらい、裸足の足の治療をしてもらい、シラミだらけの髪の毛を剃ってもらうのをワタスは横で見ていますた。

   ワタスの仕事は彼らの体を洗うこと。そして、清潔な衣類を着せることですた。

   ワタスはそのキャンプにひと月しかいなかったのですが、このベンとベンの妹に出会った時には、すでに残すところあと二週間の滞在という時ですた。

  ですが、その出会いの夜以来、二人はいつもワタスにくっついていますた。

   寝るときも、食べ物をもらうときも、ワタスの横にこの二人はくっついてますた。

  言葉は通じないので、ずっと無言で一緒にいるだけ。目が合うとお互いににこにこするだけ。

    キャンプでは一日に一回、おやつが配られます。小さな袋に入った乾パンみたいなものです。

   大人にもその乾パンみたいなおやつは配られるのですが、ワタスは、食べたことはありませんですた。

  自分の分だけでも子供らにまわそうと、おやつを受け取らない大人は結構いるので、ワタスも倣いますた。

   ベンと妹は最初の頃、そのおやつにびっくりしてますた。

  こんな食べ物がこの世にあったのかという顔で、本当に食べていいのか?とワタスの顔色をうかがうような感じですた。

  ジェスチャーで食べていいんだよと伝えると、袋の開け方さえも知らぬ二人は、恐る恐る袋を破って、中を取り出して、口に運び、一口かじって、それからしばらくしてそのおやつの甘味に、目を丸くするのですた。

   可愛かった。本当に可愛かった。

そんな二人にくっつかれながら、ワタスは二週間を過ごし、別な場所に移動する日を迎えますた。

 別れの日、ベンと妹は、ワタスの背中をちょんちょんと突きますた。

    振り返ると、ベンがなんとあのおやつの袋を10個も抱えてますた。妹が1つもって、二人はそれをワタスに差し出しますた。

  それでワタスは、ありゃま、あっちに返しておいでとジェスチャーで伝えようとしたのですが、

    よく考えたら、食料はしっかり管理されていて、返すも何も余分にもらうことなどできなくなっているのです。

    それでワタスは大急ぎで通訳を連れてきて、ベンの話を聞きますた。

   ワタスがおやつを食べなかったのは、もらわなかったのではなく、もらえなかったからだとベンは思ったらしく、

  ベンは、キャンプ到着の四日目から、その別れの前日までの自分の分のおやつをワタスのために、食べずにためていたというのです。

  妹は小さいからおやつを食べてしまった。でも、昨日の分だけは食べずに、今日ワタスに渡すために、とっておけたのだ、と言うのです。


   ワタスはもう頭の中、真っ白。血の気が退いて、その場にへたりこんでしまいますた。


     昔、ある記者が難民キャンプで体験したトウモロコシの粒の話をしてくれますた。

   そのキャンプでなかよくなった子が、自分に食事として配られた乾燥トウモロコシの粒をとっておいて、別れの日に記者にくれたというのです。食べたかったであろう粒を記者のためにいくつも。

      
   その話を聞いて、ワタスは泣けてしまったのですが、まさか、数十年後、自分の身に同じようなことが起きるとは夢にも思っていなかったのです。

  
     子どもは、なんてすごいんだろうと思います。

 

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転載はここまで。 

この曲も、彼女が記事に付けてくれました。

 

 祈り~You rase Me Up